

えいごりらが全国の学校を訪問し、
授業の様子や取り組みをレポートします!
みなさん,こんにちは。えいごりらです。
今日は広島県海田町の海田小学校にやってきました。

海田町は人口約2万9千人。広島市の隣の町で,古くから交通の要衝として栄えてきました。自動車メーカーの関連工場が多く,中国や南米出身の方々も働いているため,町にはどこか国際的な雰囲気があります。
海田小学校は海田町に4校ある小学校のうちの1校で,全校児童は369人。1872年(明治5年)に「先覚舎」として開校した歴史ある学校です。校舎に入ると,オリンピックに関する英語の掲示物を発見! 『We Can! 2』Unit 6“What do you want to watch?”に関連した内容ですね。

海田小学校は,日本人初のオリンピック金メダリスト(三段跳び)である織田幹雄氏の出身校なのだそうです。学校の国旗掲揚台は織田幹雄さんの記録に合わせて15.21mの長さに設定されており,「織田ポール」と呼ばれているのだとか。
校内には,児童が外国語の授業で作成したポスターがいたるところに貼られています。こちらは学校の先生を紹介するポスター。『We Can! 1』 Unit 5 “She can run fast. He can jump high.”の内容です。

こちらは『We Can! 2』Unit 4“I like my town.”に関連した町紹介のポスターです。

海田小学校は,海田町が平成26年度に策定した「グローバル人材育成事業」の研究拠点校に指定されており,昨年度より低学年7時間,中学年35時間,高学年70時間の外国語(活動)の授業を実施しています。授業以外にも,外国語活動に関する様々な実践を行っています。
例えば,こちらは3年生以上が取り組んでいる「今日の一口英語」の掲示物。よく使う表現や単語を中心に,毎日少しずつ使える英語を増やしているそうです。

この掲示物は毎日更新されているのだとか。
ほかにも,児童が行う校内放送を英語で行ったり,年一回,広島市の平和記念公園にて,外国人を相手に平和に関するインタビューを行ったりしています。こちらはインタビューを元に作成したポスターです。

たくさんの国の人々が平和記念公園を訪れているのですね。それぞれの紙には,インタビューした相手の名前と出身国,平和へのメッセージが英語で記されています。
さらに,本年度から広島県の「小学校外国語パワーアップ事業」の研究校指定を受け,小学校外国語の指導方法について,実践研究を行っています。研修を受けた「パワーアップリーダー」を中心に,校内研修やミニ研修を週一回必ず行い,教職員全体で進めているのだとか。
「パワーアップリーダー」の先生は,他の先生方に向けて毎月『グローバル通信』を作成しており,その中には,先生方用の「今月の一口英語」も掲載しているそうです。

さて,今日は5年1組の授業を見せていただきます。児童数は28人。学習もその他の活動も,前向きに取り組む頑張りやさんのクラスです。

担任の結城和夏先生は,パワーアップリーダーの先生と一緒に教材研究や授業に取り組んだことで,学生の頃よりも英語が好きになったのだとか。最近「広島弁を使わず共通語で話してみよう」と指示を出したところ,児童が英語で喋りだして驚いたそうです。

そんな結城先生の特技はヨットとスキューバダイビング! 織田幹雄氏の言葉「強いものは美しい」をモットーに,日々パワフルに児童の前に立っています。
こちらは海田町のパワーアップリーダーとして活躍する清水由美子先生です。小学校の学級担任,及び中学校の英語科教員として指導した経験があり,それぞれの視点から,小学校の発達段階を踏まえた外国語指導を目指しています。

特技は歌と手芸で,ロックバンドのボーカルをしているのだとか。「Smile」をモットーに,海田町内の全小中学校(6校)で指導にあたっています。
さて,今日は“What would you like?”の単元を扱います。本時は6/6時間目。単元の集大成として「広島フードフェスティバル」を行います。広島の名産品等を題材に買い物のやり取りを行い,それらを組み合わせておすすめの「広島セット」を完成させる活動です。
まずはあいさつをして,曜日,日付,天気などを確認し,先生が作成したパワーポイントに合わせて全員でチャンツを言います。

通常,チャンツは『We Can!』『Let’s Try!』のものを扱っているとのことですが,長めの表現が多い場合には,児童の様子に応じて,先生が自作したチャンツに変えているそうです。
続いて,今日のめあて「広島フードフェスティバルをしよう。」を確認します。黒板には,味を表すたくさんの表現が並べられています。

簡単なものばかりではありませんが,児童は自分が言いたいことを表現したがるため,その気持ちを大切にしているとのこと。
次に,先生方と代表児童で活動のデモンストレーションを行います。代表児童3名がグループで店員になり,メニューの名前や味,その良さなどを紹介します。先生は,自分が食べたいものを選びます。

授業は「聞かせる活動→やり取り活動→書く活動」の流れで組んでいるとのこと。児童が推測しながら先生の話を聞き,活動のイメージが持てるようにしています。先生は,児童に聴く力が付いていることを実感しているのだとか。
続いて,全員が店員役チームと客チームに分かれて,活動スタート! 店員役チームは3人一組でメニューを紹介します。

“We have momiji manju, lemon bread and grape jerry.”
“Momiji manju, many tastes. Koshian, custard cream, chocolate, and so on.”
客チームの児童はお店をまわって,好きなものを2つずつ選びます。
“What would you like?”“I’d like lemon bread.”
ジェスチャーを使ったり,みんなで協力したりしながら,頑張ってやり取りを行います。店員は,客が選んだ食べ物のミニポップを渡します。ミニポップは,3時間目にみんなで作成したそうです。

“Here you are.”“Thank you.”
続いて,児童は選んだ2つのポップをワークシートに貼り,食べ物の名前を書き写します。

書くことについては「なぞり書き⇒写し書き⇒書く」と少しずつ段階を追って指導しているため,着実に書ける様になってきているのだとか。
最後に,グループで選んだメニューを紹介しました。

メニュー名やその味,なぜそれがよいと思ったかなどを共有します。
“This is lemon bread. It’s sour and sweet. I like this shape. It’s cute!”
ポップをうまく使って,しっかりと相手に伝えられていますね。聞く方もしっかりと反応し,よいコミュニケーションができていました。最後に,ふり返りカードに自己評価を記入したり,気づいたことをシェアしたりして,今日の授業はおしまい! Good job!
校長の大橋綾子先生にもお話を伺いました。海田小学校では,先生方が楽しく指導を行っているため,自ずと児童も楽しく学ぶことができているそうです。先生が英語に苦手意識を持っているとその不安が児童に伝わってしまうため,先生方にはいつも自信を持って授業をしようと言っているのだとか。

英語でコミュニケーションを取る時代がすぐそこまで迫ってきている中,それに対応できる児童を育てていきたいとの思いから,まずは「英語を学ぶことは楽しい」と胸を張って言える児童を育て,中学校に送り出すことを心がけたいと語ってくださいました。
海田小学校は,その様々な取組みが評価を受け,今年の1月に「広島県教育奨励賞」を受賞しました。

先生方の日々の取組みが,広島県全体にとって大きな力になっているのですね。
今回のレポートはこれでおしまい! 次回もお楽しみに!
(取材日:2019年2月15日)
★今回の授業の指導計画をご提供いただきました。使用している表現や目標など,細かい情報がご覧いただけます。PDFダウンロード

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