

えいごりらが全国の学校を訪問し、
授業の様子や取り組みをレポートします!
みなさん、こんにちは。えいごりらです。
今日は福島県西白河郡西郷村の米小学校にやってきました。

西郷村は福島県南部に位置します。学校は田園風景に囲まれ、自然豊かな環境です。東京と仙台の中間に位置し、東は“白河の関”で有名な白河市、南は“那須高原”を擁する栃木県那須郡那須町と接しています。西郷村内に源を発する阿武隈川が村の東西を貫流しています。
今日訪れた米小学校は、平成27年に創立140周年を迎えました。平成21年度には、学校キャラクター「よねっこマン」が誕生し、子どもたちからも、保護者の皆さんからも愛されるキャラクターとして大切に育ち現在に至るそうです。現在の児童数は216名(令和4年3月1日現在)で、毎年、増加傾向にあります。
学校の教育目標は「気づき、考え行動できる心身共に健康な子ども」です。「あいさついっぱい えがおいっぱい 夢いっぱい」をスローガンとして取り組んでいます。
「子どもは環境で育つ」との考えから、校内の環境整備をして、日々活き活きと自分を活かした生活ができるような工夫をしているんだって。昇降口の「誰でも弾けるピアノ!」や「絵本作家:サトシンコーナー」を見ると、たしかにみんな楽しそうだったよ。



休み時間には、多くの児童と先生方によるピアノの美しい音色で賑わっていたよ。また、読書コーナーでも学年間の交流が生まれているね。

学校支援員さんも、「いわむらかずお作:14ひきのシリーズ」の絵本を日本語と英語の掛け合いで読み聞かせをしてくれていたよ。
校内には、たくさんの英語の掲示物が廊下や階段、教室などに貼られているよ。授業の始めに実施しているアルファベットジングル(発音練習)用の教材をアルファベットごとにカードで表示をするなどして、常に子どもたちの目に英語が触れられる状態を生み出しているそうです。


米小学校では、令和3年度から令和5年度まで、福島県教育委員会から「小中英語パートナーシップ事業拠点校」の指定を受けました。多くの児童が進学する西郷第一中学校と共に、小中学校外国語・英語科連携による、児童生徒の「英語力の向上」を目指しています。
高学年外国語科は、担任の先生が授業をしています。日常生活、他教科活動を一緒にしている担任にしか分からないことを授業に活かすことで、授業が深まり、子どもの心のフォローをしながら、教科指導ができています。
また、西郷村では、令和3年度から文部科学省の「GIGAスクール構想」により配備された1人1台のタブレットを使用し、フィリピンのセブ島とリアルタイムでつなぐオンライン英会話レッスンを村内の小学5、6年生に導入しました。
さて、今日は6年2組の授業です。児童数は17名。男女分け隔てなく積極的に話し合い、活発なクラスだよ。みんな、様々な先生方と英語でコミュニケーションをとって、単語やジェスチャーなどを交えながら自分の気持ちを伝えることができていたよ。

担任の松本和也先生です。特技はサッカー。モットーは「何事にもチャレンジ!」。「英語教育を通して、子どもたちのコミュニケーション能力を高めていきたい」という熱い思いをもっているよ。

子どもたちが楽しく学び、そして、英語を使って自分の思いを伝えていけるように、まずは松本先生自身が積極的に英語を使い、コミュニケーションをとるようにしています。ALTのJohn先生と協力し合いながら、日々子どもたちと楽しく英語の授業に臨んでいます。英語の授業において、コミュニケーション能力や表現力の育成を目指して取り組んでいることが、他教科の授業のさらなる充実やよりよい学級経営にもつながっているとのこと。

ALTのJohn kim先生です。アメリカ出身で、日本在住6年目です。自然豊かな西郷村に惹かれたとのこと。スノーボードや料理が得意だそうです。モットーは“Don’t follow. Be yourself. ” 一生懸命がんばっている子どもたちを応援しています。英語という言葉を通して子どもたちの視野を広げられるように、授業時間だけではなく、休み時間も英語の絵本の読み聞かせなどに積極的に取り組んでいるそうだよ。子どもとの距離感が縮まり、授業でのコミュニケーションもより円滑になっているんだって。
今日は『NEW HORIZON Elementary 6 』Unit6「Let’s think about our food.」の授業です。 授業開始前には「アルファべットジングル」で発音練習をしました。
Today’s Goal(課題)は「オリジナルカレーをアピールするためにはどうすればよいのだろうか」です。オリジナルカレーグランプリに向けて、自分が選んだ食材や産地を紹介します。

Small Talkで挨拶、チャンツ、音声、マンツーマンコミュ二ケーション活動を複数人で繰り返します。みんな、挨拶や気持ちについて声を出して表現することで、英語表現に慣れてきているよ。


食材の産地や栄養素のグループについて伝え合います。インフォメーションギャップをつくることで、コミュニケーションに必然性をもたせるようにしています。

オリジナルカレーグランプリに向けて、発表者(話し手)と審査員(聞き手)の立場に分かれて練習します。より伝わるように既習の “~is in the...group.”や“~is from....”などの表現を用いて、食材の産地や栄養素が伝えられることに気付かせます。


次にSharingをします。 自分の思い(理由)や食材の特徴、味の内容について、“because”を用いて理由付けします。オリジナルカレーをよりアピールするために、さらに情報を追加して、再構築していきます。

聞き手のみんなは笑顔やアイコンタクトのエンカレッジメントで盛り上げます。社会科や家庭科と連携した紹介も見られました。
まとめでは、「アピールしたい内容を詳しく話せばよい。」といった気付きや感想が出ました。
次は、オンライン英会話レッスンの様子です。フィリピンのセブ島の講師とリアルタイムでつなぎ、マンツーマンで楽しく英会話をしていました。



今、英語教育で求められている「使える英語」「話す力」「表現力」「コミュニケーション能力」の育成を目指して、授業以外の時間に1回25分のレッスンを年間34回実施しています。みんな、外国人講師と積極的にコミュニケーションをとりながら、活き活きと学習していたよ。「外国語活動」「外国語科」の学習で「英語力」を培い、オンライン英会話レッスンで「英語を話せる子どもの育成」を図るべく、教科との両輪で英語の教育を進めています。
授業後、校長の小峰光先生にお話を伺いました。

小峰校長先生は、「英語」という言葉を媒介として、子どもたちには、コミュニケーション能力を高め、国際感覚を養っていってもらいたいと願っているそうです。また、中学校の英語教員と小学校の教員が英語科、外国語科という教科で連携を深めることによって、英語嫌いの子を減らし、系統性の見える英語教育が展開され、深まりのある学習になるのではないかと考えているそうです。
また、小峰校長先生からは、校内の英語教育の取り組みについて、次のようなお話をいただきました。
苦労話ということではありませんが、私は先生方と次のような接し方をしています。
英語については、得意、不得意があり、特に不得意であるという思いが根本にあることで、「英語ができない」「指導できない」という意識が取り組む前にあります。以前に東北学院大学の村野井仁先生にご講演いただいた際に、先生方に「大坂なおみさんのように英語を話しなさいなどとは求めていない。はじめは、出川哲朗さんのような英語を目指して欲しい。そうすることが子どもたちとの距離感を縮め、共に学びながら成長できる一つの切り口になる…」といったお話をいただきました。そのことを先生方に話してあげると「ホッ」とした表情をします。先生方の「英語」への苦手感を崩してあげることが最も大切なのかもしれません。
これからの先生は、「英語教育」と「ICT教育」を避けて教員人生を歩むことはできないと考えています。ですから、今のうちに「外国語科教育」のノウハウをしっかり学んでしまおうと先生方に呼びかけることからスタートしました。「学ぶ」とは、まず理想とする授業を参観して習い、習ったことを深めさせていくことだと考えています。そこで、私たちは宮城教育大学附属小学校の英語科の授業を参観させていただき、学級担任が「外国語科の授業をする」ことを習い、深めて、学級担任が主となって授業を展開することの意義をしっかり学びました。
また、 小学校と中学校の両校で英語教育に通じている宮城教育大学大学院の鈴木渉先生に直接ご指導をいただく中で、小中の連携のあり方についても日々学びを深めています。
先生方もこのような期待に応えてくださり、令和2年度、令和3年度と外国語科授業の研究公開をできるまでに成長してくださっています。頑張ってやってみようとする教師集団が存在することをありがたく思っています。教職員の頑張りが児童にも伝わり、活き活きとジェスチャーを交えながら外国語科の授業を展開する児童が増えてきていることも成果の一つと考えています。
本当に多くのお話を聞くことができました。学校全体で、英語の環境作りに取り組んでいることが素晴らしいですね。今回のレポートはこれでおしまいです。
次回もお楽しみに!
(取材日:2021年11月26日)

第67回 2025年12月3日
兵庫県神戸市立中央小学校(後編)

第66回 2025年11月10日
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第65回 2025年10月29日
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第64回 2025年8月6日
奈良県葛城市立白鳳中学校

第63回 2025年6月2日
吉川市立中曽根小学校(後編)

第62回 2025年4月22日
吉川市立中曽根小学校(前編)

第61回 2024年5月7日
三重県松阪市立久保中学校

第60回 2024年3月11日
福井県小浜市立加斗小学校

第59回 2024年1月18日
愛知県一宮市立大和南小学校

第58回 2023年12月27日
奈良県葛城市立新庄小学校

第57回 2023年11月24日
石川県金沢市立西南部中学校

第56回 2023年7月7日
茨城県守谷市立守谷中学校

第55回 2023年4月17日
群馬県富岡市立高瀬小学校

第54回 2023年4月13日
岡山県津山市立津山西中学校

第53回 2023年4月3日
奈良県葛󠄀城市立磐城小学校

第52回 2023年3月3日
滋賀県東近江市立蒲生西小学校

第51回 2023年2月20日
香川県高松市立古高松南小学校

第50回 2023年2月13日
愛知県愛知教育大学附属名古屋中学校

第49回 2023年1月23日
愛知県尾張旭市立東栄小学校

第48回 2023年1月16日
奈良県王寺町立王寺南義務教育学校

第47回 2022年12月13日
佐賀県佐賀市立城西中学校

第46回 2022年12月2日
岡山県立岡山操山中学校

第45回 2022年8月31日
岐阜県多治見市立笠原中学校

第44回 2022年8月10日
石川県野々市市立富陽小学校

第43回 2022年7月26日
愛媛県松山市立久谷中学校

第42回 2022年6月29日
秋田県由利本荘市立由利中学校

第41回 2022年5月9日
群馬県みどり市立大間々南小学校

第40回 2022年4月28日
鳥取県南部町立西伯小学校

第39回 2022年4月25日
広島県廿日市市立七尾中学校

第38回 2022年4月20日
福島県西白河郡西郷村立米小学校

第37回 2022年4月1日
茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校

第36回 2022年3月30日
岐阜県大垣市立中川小学校

第35回 2022年3月25日
長崎県五島市立奈留小中学校

第34回 2022年3月11日
山口県下関市立長成中学校

第33回 2022年2月4日
佐賀県伊万里市立二里小学校

第32回 2022年2月4日
岩手県奥州市立水沢小学校

第31回 2021年11月15日
北海道上川郡東川町立東川小学校

第30回 2021年10月25日
滋賀県湖南市立甲西北中学校

第29回 2021年9月2日
兵庫県たつの市立龍野西中学校

第28回 2021年3月17日
群馬県前橋市立細井小学校

第27回 2021年1月8日
千葉県富津市立吉野小学校

第26回 2020年12月16日
新潟県新潟市立上所小学校

第25回 2020年11月13日
東京都品川区立芳水小学校

第24回 2020年1月24日
神奈川県横浜市立荏田東第一小学校

第23回 2019年6月21日
宮城県大崎市立古川第五小学校

第22回 2019年5月31日
秋田県大館市教育委員会
大館市立上川沿小学校

第21回 2019年5月24日
山形県川西町立小松小学校

第20回 2019年5月17日
福島県白河市立みさか小学校

第19回 2019年5月10日
大阪府高槻市立大冠小学校

第18回 2019年4月26日
宮城県利府町立青山小学校

第17回 2019年4月19日
静岡大学教育学部附属浜松小学校

第16回 2019年4月12日
広島県海田町立海田小学校

第15回 2019年3月29日
宮城県七ヶ浜町立亦楽小学校

第14回 2019年3月22日
山形県庄内町立余目第四小学校

第13回 2019年3月15日
岡山県岡山市立石井小学校

第12回 2019年3月1日
鹿児島県薩摩川内市立平佐西小学校:後編

第11回 2019年2月22日
鹿児島県薩摩川内市立平佐西小学校:前編

第10回 2019年2月15日
茨城県守谷市立守谷小学校

第9回 2019年2月8日
三重県松阪市立香肌小学校

第8回 2019年2月1日
青森県つがる市立向陽小学校

第7回 2019年1月25日
北海道旭川市立富沢小学校

第6回 2019年1月17日
高知県高知市立春野東小学校

第5回 2019年1月11日
島根県松江市立義務教育学校八束学園

第4回 2018年12月28日
千葉県我孫子市湖北地区公民館

第3回 2018年12月21日
千葉県富津市立大貫小学校

第2回 2018年12月13日
東京都港区立笄小学校

第1回 2018年12月12日
東京都文京区立誠之小学校