みなさん，こんにちは。えいごりらです。
今日は福島県白河市のみさか小学校にやってきました。

白河市は人口約6万人。古代より白河の関が置かれ，陸奥の玄関口として発展してきました。現在も東北新幹線や東北自動車道が通り，その交通網を生かした企業活動が展開されています。

今日訪れたみさか小学校は白河市の中心地に位置します。全児童数は365名。明治19年創立の白河小学校（現白河第二小学校）が前身で，同校の拡大規模解消のため平成9年に開校しました。

学校の教育目標は「広い心で いつも 輝いている子ども」。すれ違う児童は積極的にあいさつしたり，歩行の道を譲ったりと，元気で礼儀正しい印象です。

校内を進んでいくと，児童昇降口に大きなカエルの石像を発見！

大きなカエルの上に，小さな5匹のカエルが乗っています。児童を迎える気持ちや，無事カエルの意味が込められているそうです。

さて，みさか小学校は2018年度より「福島県教育委員会指定小学英語パイオニア校」に指定されており，中学年35時間，高学年70時間の外国語（活動）の授業を実施しています。今年（平成30年度）の5年生は3，4年生で外国語活動を実施していなかったため，今年度は『Hi, friends!』からスタートして，2学期から『We Can!』に入っているとのこと。

校内には，様々な場所に英語の掲示物が貼られています。階段に月の英語表記を掲示したり，校長室や職員室等の部屋名を英語で記載したりするなど，基礎技能の定着を図る工夫をしています。

校内はとてもきれいで，掲示物も整然と掲載されています。

教室には，オリンピックの競技や国旗，色，月についての掲示物が掲載されています。

日々目にすることで，定着が期待できそうですね！

さて，今日は5年2組の授業を見せていただきます。音楽が好きで，歌をうたうのが好きな学級なのだとか。恥ずかしがらず，たくさん声の出る積極的なクラスです。

外国語の授業は今年度から始めたばかりですが，積極的に取り組んで，会話やコミュニケーションを実施してきました。男女ともに仲が良く，いろいろな友達と楽しんで英語に取り組んでいます。

みさか小学校では教科担任制をとっているため，外国語の授業はすべて英語専科の荒井智（あらいさとし）先生が実施しています。荒井先生は白河市立白河第一小学校でも指導しており，全部で16クラスを指導しているとのこと。

先生は2014年に文部科学省の英語推進リーダー研修会に参加し，2015年には地域の先生方に伝達講習を実施しました。2018年度からは福島県教育委員会指定の専科教諭（ふくしま外国語教育推進リーダー）として，他8名の英語推進リーダーと共に福島県の英語教育を推進しています。

児童にはいろいろな人とコミュニケーションができる力をつけてほしいと思っているそうです。週一回来校するALTやネイティブと，自信をもって会話ができるようになることを目指しています。

さて，今日は『We Can! 1』Unit 6 I want to go to Italy.の授業を行います。『Hi friends! 2』Lesson 5 Let’s go to Italy.と組み合わせて，単元計画を組んでいるとのこと。授業はほぼ毎時間，あいさつ，ウォーミングアップ，New Words，Listen，Activity，振り返り，ビンゴという決まった流れで，児童もスムーズに動けています。

授業が始まると，まずは挨拶をして授業の流れを確認します。前の黒板には授業の流れが示されており，児童が見通しを持って安心して学習に臨めるよう工夫されています。

活動名の横に「聞く」「話す」「読む」「書く」などの中心技能がアイコンで示されているのが印象的です。

次に，ウォーミングアップ「すらすら英単語」の活動を行います。ペアで1～15までの数字を交互に言い合う，A～Zまでのアルファベットを交互に言い合う，4人組で1～60まで順番に数えてみるなど，毎時間繰り返し行っている活動です。

また，数字，天気，アルファベットなど，基本的な単語にも毎時間触れるようにしています。

さて，ここからが今日のメインの活動です。まずは映像を視聴し，今日のターゲットを導入します。週に一回来校するALTのサム先生がVTRで登場し，好きな国とその理由を話します。

荒井先生が児童に「どんな英語が聞こえた？」と聞くと，Italy，pizza，soccerなどと，たくさんの声が挙がりました。みんなよく聞き取れていますね！　Fantastic!

続いて「◯✕インタビューゲーム」を行います。先生は下のようなカードを1人1枚ずつ配ります。カードにはTom，Nancy，Ken，Ami，Mikeの5人の登場人物と，その登場人物が行きたい国が示されています。

児童は登場人物の一人に◯をつけ，友達とペアになってじゃんけんをします。負けた児童は，◯をつけた登場人物が行きたい国を言います。勝った児童は相手が誰かを当てて，当たった場合はそのカードがもらえるというルールです。カードがなくなったら，先生に新しいカードをもらいに行きます。

制限時間は5分間。先生が“Let’s Start!”と声をかけ，活動が始まります。

児童1 ： I want to go to Brazil. I want to go to America.
児童2 ： Ken ?
児童1 ： Yes.

児童3 : I want to go to China. I want to go to Japan.
児童4 : Nancy?
児童3 : No. I am Mike.

児童は次々とペアを変えながら，活動を行っていきます。

次に，『Hi, friends! 2』Lesson 5 Let’s Play 3のデジタル教材の音声を聞いて，登場人物が行きたい国やその理由を表に記入していきます。

先生はデジタル教材を止めたり，ヒントを出したりしながら，児童の聞き取りをサポートします。

その内容を参考に，自分たちでも行きたい国をインタビューします。

児童1：　Where do you want to go?
児童2：　I want to go to India.

児童は相手を変えながら，活発にやり取りを行います。友達の意外な一面を知ることができて，とても楽しそう！

やり取りの活動の次は，『We Can!』のワークシートを使って書く活動を行います。まずは荒井先生が自作したスライドで，手順を確認。

今日の学習で習った国名をなぞり，その後で自分が行ってみたい国を書き写していきます。

毎時間，5分程度で書く（書き写す）活動を取り入れることで，児童の書くスピードが徐々に速くなってきたとのこと。中学校で書くことに抵抗感を持たないように，文字を書かせる機会を意識的に増やしているそうです。

最後にふり返りを行います。児童はふり返りシートに気づいたことや感想などを書いていきます。

ふり返りの後，帯活動のビンゴゲームを行いました。高学年はアルファベットビンゴを毎時間実施しており，毎回とても盛り上がるそうです。

最後に挨拶をして，今日の授業はおしまい！
最後まで元気よく取り組みましたね。Good job!

授業後，校長の武藤誠先生と教頭の関根敦子先生にお話を伺いました。

関根教頭先生によると，みさか小学校の児童は明るく素直で，よく話を聞く子が多いのだそうです。6年は特にしっかりしており，挨拶はもちろん，先生や来客への声がけもよくできているとのこと。そんな高学年の姿を，中低学年もよく見習っています。

なお，みさか小学校では3年生以上から教科担任制をとっているため，複数人の教諭で児童を見ているという良さがあるそうです。先生同士が密な連携を図っており，学校全体で一人ひとりの児童を見とっていこうという意識が高いとのこと。

ちなみに，英語の授業は全て荒井先生が実施していますが，他教科担当の先生方も英語の指導力を身につけられるよう，外国語の校内研修を実施しています。荒井先生の授業を児童役で体験するなど，どのように英語の授業を進めていけば良いか考える機会を作っているそうです。

武藤校長先生は，自身が学生時代に英語で苦労したため，荒井先生の楽しい授業が受けられる児童が羨ましいのだとか。実際，荒井先生は児童からも大変人気なのだそうです。校長先生も今では英語が好きになり，英語を通していろんな方とコミュニケーションできることの良さを感じていると語ってくださいました。

今回のレポートはこれでおしまい！　次回もお楽しみに！

（取材日：2019年3月13日）