

えいごりらが全国の学校を訪問し、
授業の様子や取り組みをレポートします!
みなさん,こんにちは。えいごりらです。
今日は大阪府高槻市の大冠(おおかんむり)小学校にやってきました。

高槻市は,大阪府の北部,ちょうど大阪市と京都市の中間に位置します。豊かな自然と都市の街並みが調和した人口約35万人の中核市です。
今日訪れた大冠小学校は,市の中心ほど近くにある,全校児童約360人の学校です。周りには住宅や店舗が並び,東側を流れる淀川にかけては,田んぼや畑も広がっています。

運動場からは,新幹線も見えるんですよ!
校内に入ると,研究主任の平山欣生先生が玄関で迎えてくださいました。平山先生は英語専科として週20時間以上の授業に立ち,外国語活動・外国語科の取組みを推進しています。また,近隣の小学校で授業したり,市内の先生方と交流したりと,幅広く活躍する先生です。

玄関には,色々な国の「こんにちは」が掲示されています。大冠小学校は,異文化理解,国際理解教育に力を入れており,外国語活動の取り組みは今年でなんと22年目。「グローバルな人間に育ってほしい」という保護者の願いを受けて,6年生で学期に1回の活動からスタートしたのだとか。
平成28年度からは文部科学省の教育課程特例校として,1・2年生が月1コマ,3・4年生が週1コマ,5・6年生が週2コマの外国語活動・外国語科に取り組んでいます。加えて,全学年でモジュール授業も行われています。
さて,今日は5年2組と6年1組の授業を見せていただきます。まずは5年2組,担任の秋吉洋樹先生(T1)と,平山先生(T2)によるTTです。担任の秋吉先生は新任1年目! 「何事も全力で」をモットーに,日々,考えさせる授業を意識されているそうです。

まずはSmall Talkを行って,児童の思考を促します。この日は金曜日で,テーマは「What are you doing this weekend?」。 平山先生のデモンストレーションをもとに(洋服を買いに行くのだそう),自分たちは何をするか,それをどう伝えるかを考え,グループで交流します。
元気いっぱいで,人と関わることが好きな児童たち。その様子を,秋吉先生と平山先生が見て回り,表現の仕方などをアドバイスします。
続いて,今日の学習『We Can! 1』Unit7 Where is the treasure? に入ります。位置関係を表す前置詞(on/in/under/by)についての理解を深め,単元の後半で行う「宝探し」の活動へとつなげるねらいです。
はじめに,秋吉先生と平山先生が,自分の「宝物」を紹介しました。秋吉先生は英文法の本を,平山先生は新任の頃のクラス写真を見せて,英語で解説します。

先生の「宝物」を知ったことは,自分の「宝物」を考えていく助けになったのではないでしょうか。
その後は,ポインティング・ゲーム。秋吉先生が尋ねた物の位置について,児童は手元の『We Can!』のイラストを指差し,繰り返し「Where is 〜? It’s on/in/under/by ~.」の表現にふれていきます。

その間,平山先生は教室をくまなく周り,活動をサポートしています。
なお,この単元では,活字体の文字を認識し,文字には音があることの理解も深めていきます。Sounds and Lettersの活動では,ワークシートの2つのイラストに共通する初めの音の文字を,音声を聞いて記入します。

その後,黒板にワークシートと同じイラストが掲示され,平山先生が自らの発音で,丁寧に音と文字を共有していました。

最後に,「ふり返りシート」に自己評価や感想を記入します。児童は思い思いに,学校のマスコット「おおかんくん」にマルをつけたり,色を塗ったりしていきます。大冠小学校では「ふり返りシート」に毎時間取り組んでいて,行動観察でみきれなかった部分や,授業者の見取りとのギャップを確認したり,次時のプランづくりに役立てたりしているそうです。

積極的に参加できたね! Good job!
さて,次は6時間目,6年1組の授業です。男女仲良く,笑顔の絶えない児童たちが,黒板にメッセージを書いて温かく迎えてくれました。Hello, everyone!

担任の石上達矢先生は,民間企業に就職後,子どもに関わる仕事がしたいと大学の通信課程で学び,現在10年目。密なコミュニケーションと,何のために何をするのかを意識して,思考を働かせる授業を心がけているのだそうです。

こちらもまずはSmall Talkから始めます。石上先生が児童の声を細かく拾い,やり取りにつなげていきます。5年生と同様に,児童が思考を働かせる活動として,Small Talkの時間をとても大切にされていることが伝わってきます。
続いて,今日の学習『We Can!2』Unit 9 Junior High School Life に入っていきます。はじめに,デジタル教材で中学校生活の映像を視聴します。

児童は静かに,興味深そうに画面を見つめています。
映像を視聴後,石上先生は自らの発音で,『We Can!』の誌面にある様々なクラブ活動を紹介しました。その後,児童にこう尋ねました。「六中はどうやろう?」

すると,児童から,校区の中学校にあるクラブ,ないクラブなど,たくさんの声が挙がりました。みんなよく知ってるんだね!
続けて,今日のめあての「クラブ活動について聞こう!」に沿って,Let’s Watch and ThinkやLet's Listenを行います。石上先生が,「I want to join 〜 team.」など,これまで学習してきた表現を取り上げると,児童はデジタル教材を視聴しながら,聞き取った内容を誌面に記入していきます。

その間,石上先生は児童一人ひとりの様子を見て回ります。児童が聞き取り,考える時間を,ゆったりと持たせているように感じました。石上先生によれば,これまでの学習でふれてきた数字や曜日など,8割くらいの児童が聞き取れていたそうです。
最後に「ふり返りシート」を記入します。今日は,感想を記入する欄に,「中学校の英語の先生にどんなことを話したいですか?また,どんなことに気を付けたいですか?」と,学びのつながりを意識した問いかけがありました。

ちなみに,授業後に提出したシートは,先生が確認した後,児童に返され,各自専用の紙ファイルに綴じて保管します。いわゆるポートフォリオにもなっているのですね。
中学校の先生に伝えられるといいね! You can do it!
授業後,両クラスの担任のお二人に「英語の授業を通して児童に期待すること」を伺いました。

秋吉先生は,「英語を通して他者との違いを受け入れ,異文化を理解してほしい」,また石上先生は,「英語を通して,色々なことにチャレンジできるようになってほしい」と話していました。
さらに,5年2組にT2で加わった平山先生と,前の研究主任で,現在は首席(主幹教諭)という立場で授業をサポートしている引山大士先生にも加わっていただきました。

引山先生は,香港に住んでさまざまな国や地域の人と交流した経験から英語指導への関心が高まり,平成26年には文部科学省の研修を受けて,長く大冠小学校の実践研究をリードしてきました。お二人とも,児童には「英語を通して視野や考え方を広げてほしい」と,秋吉先生や石上先生とも通じる思いを持っておられたのが印象的でした。
最後に,福澤隆治校長先生のお話を紹介します。

「大冠小学校では,担任をはじめ,全員が公開できる授業をめざしています。それが他教科の授業にもつながり,子どもたちのためになると思うからです。先生方にとっては,時に『重い』場面もあるでしょうが,皆互いに支え合っています。これは,学校として積み重ねてきたものだと考えています。」
取材したこの日も,道徳の公開授業をされていました。また,最近は食育にも力を入れているそうです。小学校英語の取組みを柱に,先生方が支え合いながら授業を磨き続ける,大冠小学校のチーム力と伝統を感じました。
今回のレポートはこれでおしまい! 次回もお楽しみに!
(取材日:2019年2月15日)

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第36回 2022年3月30日
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第24回 2020年1月24日
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第17回 2019年4月19日
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第15回 2019年3月29日
宮城県七ヶ浜町立亦楽小学校

第14回 2019年3月22日
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第13回 2019年3月15日
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第12回 2019年3月1日
鹿児島県薩摩川内市立平佐西小学校:後編

第11回 2019年2月22日
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第10回 2019年2月15日
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第9回 2019年2月8日
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第8回 2019年2月1日
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第7回 2019年1月25日
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第6回 2019年1月17日
高知県高知市立春野東小学校

第5回 2019年1月11日
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第4回 2018年12月28日
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第3回 2018年12月21日
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第2回 2018年12月13日
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第1回 2018年12月12日
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