みなさん，こんにちは。えいごりらです。
今日は宮城県利府町の青山小学校にやってきました。

利府町は人口約3万6千人。宮城県の中央部，仙台市の北に位置する町で，東は松島湾に面しています。仙台市中心部から近いことから，ベッドタウンとして発展を続けています。

今日訪れた青山小学校は，利府町の静かな住宅街の中にあります。学校の裏にはゴルフ場があり，大きな大会も開かれるのだとか。様々なスポーツ施設や大規模な公園にも近く，周囲には緑豊かな町並みが広がっています。

児童数は328名。学校には中庭があり，児童が休み時間に遊んだり，談笑したりするそうです。校舎は天井が高く，ドーム型の通路からは空が見え，明るい光が差し込んでとても気持ちの良い環境です。

青山小学校では，3年生から外国語（活動）に取り組んでおり，3，4年生は年間15時間，5，6年生は50時間の授業を実施しています。

昨年11月にはJICAノンフォーマル教育推進コースの一環で，7ヶ国（アフガニスタン，レソト，モルディブ，ミャンマー，パキスタン，パラオ，スリランカ）から研修生が訪れ，6年生を中心に交流したそうです。

また，年に一度，留学生を招いて英語を使った交流会を開催しているとのこと。今年の2月にも留学生を中心とするゲストティーチャーを招いて国際交流イベントを行い，その取り組みは地元新聞にも取り上げられました。

校舎内には，すべての階段や教室の前に手作りの英語表示があります。「曜日」「数」「色」「あいさつ」など，内容は様々です。

これらの掲示物は，卒業生が記念制作として残していったものだそうです。卒業生にとっても在校生にとっても，嬉しい記念になりますね。

さて，今日は4年1組の授業を見せていただきます。明るく元気いっぱいで，男女仲良く協力し合うクラスなのだとか。英語の授業は「英語ルーム」で行われるとのことで，早速案内していただきました。

掲示物の提示，デジタル教材の環境整備など，英語を集中して学べる環境をつくっているとのこと。どんな授業が行われるか，楽しみです。

T1の片平恵先生は，4年1組の児童が1年生だった頃の担任の先生です。つくばでの中央研修を受講して宮城県の英語教育推進リーダーになり，現在は県内の研修講師も努めています。

そんな片平先生は海外一人旅が好きで，アフリカやアジア各地の秘境で冒険した経験もあるそうです。人生観が変わるような旅の経験は大きな財産になっているのだとか。特技は現地の人々とすぐに仲良くなれること。今でも長期休みを利用して様々な国を訪問し，時には現地の学校へ飛び入り訪問で授業を行うこともあります。

先生は海外でのご経験から，英語は人と人とがつながる喜びを与えてくれるとの思いを持っており，児童にもその素晴らしさを体感してほしいと考えています。国境を越えて世界中の子供たちをつなげることが夢であり，ライフワークであるとのこと。「心が動く授業」をモットーに，日々の授業に取り組んでいます。

そんな片平先生と協力して授業を行うのは，ALTのレベッカ・パイク先生です。アメリカ・ワシントン州出身で，日本に来て約2年半。日本のアニメと給食が大好きな先生です。

音楽が得意で，歌やビオラの演奏はプロ級なのだとか。また，絵や消しゴムハンコづくりがとても上手で，多彩な才能を持っています。日本の子供たちの英語力向上のため精いっぱい頑張りたいとの思いを胸に，いつも楽しい授業を心がけています。

教室に児童が揃うと，授業前にCDの音声やリズムに合わせて，「目の体操」を行います。

「目の体操」は集中力アップにつながるとのこと。また，目の運動能力の不足はアルファベット学習でつまずく原因になりやすいと言われており，視覚能力のトレーニングを実践する学校も増えているそうです。

さて，今日は『Let’s Try! 2』Unit 7“What do you want?”を扱います。あいさつをして授業がはじまると，大きなサイコロが登場！　普段からサイコロでウォームアップのテーマを決めているそうです。

このサイコロは片平先生の自前なのだとか。2人がかりでやっと抱えられる大きさです。サイコロを振って，今日のウォームアップのテーマは「好きな動物，苦手な動物」に決まります。

授業は常にテンポよく行うことを心がけているとのこと。ジャンケン，単語カード，ジングルなどで楽しい雰囲気を作っていきます。

ALTのレベッカ先生も，絵カードやデジタル教材を巧みに操りながら授業を進めます。

ウォームアップが終わると，本題に入ります。今日のテーマは「フルーツピザをつくろう」。まずは「市場でどんなお買い物をするのかな？」と片平先生が問いかけ，『Let’s Try! 2』のデジタル教材p.26～p.27の紙面を画面に写し，どんな果物があるかを確認します。

次に絵カードを使って，果物の単語や“What do you want?”の表現を練習します。

続いて，ピザ生地の掛図を黒板に掲示。自分がトッピングしたいフルーツを『Let’s Try! 2』p.26～p.27の誌面の中から，児童に選ばせます。

各自，トッピングしたいフルーツに付箋をつけていきます。

フルーツを選んだら，代表児童が先生とやり取りをしながら果物カードを貼り，黒板のピザを完成させます。できたフルーツピザには名前をつけます。

この際，“I want ～, please.”の表現の練習も欠かしません。楽しみながらも，ゴールに向かって確実に力を付けることを狙っています。

4年1組の担任で新任（1年目）の宮城夏実先生も参加して，楽しく活動を行います。

黒板上にできたピザに「イエローレッドピザ」と名前をつけるなど，児童の元気な声が聞こえて，とても楽しそう！

続いて，片平先生が海外で撮影した市場の写真を紹介します。授業では，国際理解，異文化理解的要素を入れ，互いを知り，受け入れ，共に生きて行こうとする「共生の意識」を育てているそうです。

色鮮やかな外国のフルーツに，児童は興味を持って画面を見つめます。「もっと知りたい，調べたい」と思わせる工夫があり，次の授業への期待が膨らみます。

最後に，ワークシートを使って「書く」練習を行いました。まだアルファベットを書くことはしませんが，その準備段階として，曲線や直線を書く練習を行います。

このような活動を行うことで，特別支援が必要な児童も含めて，アルファベット学習でのつまずきを減らすことができるのだそうです。

最後にふりかえりとあいさつを行って今日の授業はおしまい！　終始，子どもたちの楽しそうな声が聞こえる授業でした。Good job!

校長の及川理恵先生にお話を伺いました。今日授業を行った片平先生は，隣の学校から勉強にくる先生もいるほど，とても頼りにされているそうです。青山小学校には片平先生以外にも英語を話せる先生がいて，児童はとても恵まれた環境に置かれているのだとか。

利府町としても英語に関する研修を行っており，次年度は中学校区の小学校単位でも研修会を行っていく予定です。子どもたちが楽しそうに英語の授業をしているのを見ていると，自分もとても楽しい気持ちになると語ってくださいました。

今回のレポートはこれでおしまい！　次回もお楽しみに！

（取材日：2019年2月22日）

※授業前の「目の体操」，及び最後の「直線や曲線を書く活動」でご活用いただきました！

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