みなさん，こんにちは。えいごりらです。
今日は宮城県七ヶ浜町の亦楽（えきらく）小学校にやってきました。

七ヶ浜町は仙台市の北東に位置し，日本三景松島の一角をなします。人口はおよそ1万8千人。松島湾に突き出した半島状の町で，三方を海に囲まれており，「うみ・ひと・まち」をテーマにしたまちづくりを行っています。

そんな七ヶ浜町では，「七ヶ浜グローカルPROJECT」を展開しています。「グローカル」は「グローバル」と「ローカル」からなる造語。地域に根差し，世界を見据えた特色ある教育活動によって，人づくりを通して震災後の町づくりにアプローチすることを目指しています。

「英語を通したコミュニケーション力の育成」は，グローカルPROJECTの柱となる事業です。町内の全小学校3校が文部科学省特例校に選ばれており，低学年は年間20時間，中学年は35時間，高学年は50時間の「英語コミュニケーション」の学習を実施しています。これからの七ヶ浜町を担う児童が「英語大好き」と言えるよう，3名の外国人の先生と「明るく楽しくおもしろい」学習を続けることで，英語を通したコミュニケーション力を育んでいます。

今日訪れた亦楽小学校は1885年（明治18年）に代ヶ崎中等小学校として開校し，大正3年に当時の七ヶ浜村の村長，伊丹栄三郎氏によって「亦楽小学校」と改められました。「亦楽」は『論語』の一節「有朋自遠方来不亦楽乎」に由来するとのこと。「友が遠方から尋ねてくるのもまた，楽しいことではないか」という意味なのだそうです。児童数は251名。めざす児童像・行動像として「失敗できる子供（＝失敗体験を次に進むチャンスと捉えることができる子供）」を掲げ，日々の教育活動に取り組んでいます。

さて，今日は2年1組の授業を見せていただきます。クラスは全部で23名。話すことが好きな児童が多いそうです。

今日も皆とても明るく，楽しい雰囲気です。

担任の佐々木健太先生は教員になって10年目。赴任時から英語教育に触れていますが，専門は社会（歴史）で，幕末時代の研究をしていたとのこと。特技は剣道で，なんと3段の腕前なのだとか。

そんな佐々木先生は，「勉強を楽しむことを伝えたい。児童には楽しみ方を見付けられるようサポートしていきたい。」との思いから，英語の授業でも「楽しむ」ことを心がけています。

ALTのRebecca Yang Xi Lin 先生はカナダ・アルバータ州の出身で，日本に来て1年目。日本語の勉強のために来日したそうです。英語，日本語，香港語，中国語の4か国語を話すことができるとのこと。

日本の好きなところは「人がやさしい」ことなのだとか。日本で学んだ指導のアイデアやノウハウを，カナダに戻ってシェアしたいそうです。

今日の授業では「曜日」と「天気」について学習します。ゲームなどを通して英語での言い方に慣れ親しみ，ALTや友達と楽しく関わろうとする態度を育成することがねらいです。

黒板には今日の授業の内容が示されています。

授業が始まると，まずはRebecca先生を中心に，ウォームアップを行います。まずは「Silent Greeting Time」。声を出さずにジェスチャーであいさつします。

声を出さなくても，上手に表現したり反応したりして，コミュニケーションを取っていきます。

続いて「Greeting Time」で声を出してあいさつ。

次々とペアを作ってあいさつをしていきます。皆積極的に，友達に話しかけに行きます。

次に，チャンツを言いながら，曜日や天気（sunny, rainy, cloudy, snowy, windy）などの単語に慣れ親しみます。

口を大きく縦に開けて…。Rebecca先生が体を使って，発音の仕方や発音時の口の様子を丁寧に示しながら，児童と一緒に発音します。

続いて“Sunday, Monday, Tuesday”を歌います。

佐々木先生も児童と一緒に歌います。

ここから今日の授業の中心となる活動に入っていきます。まずはアクティビティ1「カレンダー双六」からスタート。3～4人のグループでゲームを行います。

カレンダーを使用して，さいころの目の数だけ曜日を言いながら進みます。

続いてアクティビティ２「お天気バスケット」を行います。フルーツバスケットのお天気単語バージョンで，各天気の単語カードをランダムに児童に配布し，輪になって取り組みます。

“How’s the weather today?”
“It’s sunny!”
先生も児童と一緒に活動し，全員が楽しめるようにサポートします。体を動かすゲームは児童もとても楽しそう！

最後に，曜日，天気の言い方が分かったか確認して，今日の授業はおしまい！

最後まで楽しく，集中して取り組みましたね！ Good job!

授業後，校長の須藤清先生と，七ヶ浜町の英語推進教師のリーダー役，新田聡先生にお話を伺いました。七ヶ浜町の小中学校では「英語を通したコミュニケーション力の育成」をめざし，人間力の育成や仲間づくりに向けて学級経営を進めているそうです。
（左：須藤清校長先生，右：新田聡先生）

授業ではALTによるネイティブの言語をシャワーのように浴びせることで，児童のコミュニケーションへの関心・意欲を高め，他教科の指導や学級づくりにも生かしています。

七ヶ浜町では，T1がALT，T2が担任という授業づくりを貫いており，担任とALTとのチームワークが非常に大切です。担任もALTも「楽しく面白い授業を通じて英語力を鍛える」ことに共通認識があり，信頼関係を築くことを打ち合わせでも徹底しているとのこと。それが児童にも伝わり，安心して活動ができる学級の雰囲気作りになっていると語ってくださいました。

今回のレポートはこれでおしまい！　次回もお楽しみに！

（取材日：2019年2月7日）

★情報誌『Starting Out』第3号で，七ヶ浜町の取り組みを掲載しています。ぜひご覧ください。

URL：https://nh.tokyo-shoseki.co.jp/johoshi/