みなさん，こんにちは。えいごりらです。
今日は岡山県岡山市の石井小学校にやってきました。

岡山市は人口約72万人の政令指定都市で，中国地方では広島市に次ぐ第2位の規模を誇ります。石井小学校は岡山市の中心部にあり，岡山駅西口より徒歩7～8分。市内で最も“（岡山）駅チカ！”の小学校です。商店街にも近く活気にあふれるこの場所で，約390名の児童が学んでいます。

学校に入ると，「石井の偉大な先輩方」と題した掲示物を発見！

石井小学校は今年で創立124周年。卒業生には日本児童文学三大家の一人である坪田譲治氏をはじめ，京谷好泰氏（リニアモーターカー開発の中心的存在），森末慎二氏（体操選手，オリンピックメダリスト），佐田篤史氏（囲碁棋士）など，各界の名士が名を連ねています。

さて，そんな石井小学校は岡山市の小学校英語推進校に指定されており，1～4年生は週1時間，5，6年生は週2時間，英語の授業を行っています。また，火曜日から金曜日の朝の10分間を使って語彙や表現の定着に取り組んでいるとのこと。

平成17年からは「イマージョン教育」を実施しています。これは言語教科以外の教科（算数，理科，社会，音楽など）の通常授業を英語などの第2言語で教える教育法で，第2言語に浸された（immersed）状態を作り出すことで，その言語の習得を目指す試みです。石井小学校では，1～4年生の「図工」の授業を，担任と外国人講師がオールイングリッシュで実施しているそうです。

登下校や授業の挨拶，体育の準備体操なども英語で行っているのだとか。校内には英語が溢れており，廊下や教室など，あらゆる場所で英語の掲示物が目に入ってきます。

このような掲示物を毎日見ていたら，自然と英語が身につきそう！

なお，掲示物の多くは，保護者や地域住民の有志が結成した「イマージョンサポーターズクラブ」の方々が作成しています。石井小学校の校区民は教育に対する関心が高く，研究会や交流活動の様子を新聞にまとめて発行したり，授業公開日に学校紹介を行ったりと，様々な学校の活動に協力しているそうです。

こちらは単語のフラッシュカード。掲示物はできるだけ４線を引いたものを使用しているとのこと。

『We Can!』のフォントを使用して，作成しています。

さて，今日は5年A組の授業を見せていただきます。元気で友達思いの児童が多く，オンとオフのメリハリがあるクラスなのだとか。

石井小学校の児童は学年を超えて仲が良く，高学年の児童が1年生をお世話することなどは当たり前になっています。そのため児童には受容の心が育っており，優しい子が多いのだそうです。

担任の吉平万里子（よしひらまりこ）先生です。「子どもたちが英語に興味を持って，大好きで居続けてほしい。英語を通して世界の様々な人と交流してほしい」との思いをもって，日々の授業に取り組んでいます。

趣味は読書で，時間があれば本を読みふけっているのだとか。モットーは「温厚篤実」。優しく，誠意を持って児童に接することを心がけています。

吉平先生とチームを組むのはALTのセバスティアーノ・アレクサンドラ先生。アメリカ合衆国・バーモント州のご出身です。英語を教える仕事がしたかったことと，日本の文化や歴史に興味があって来日しました。

日本に住んで1年半。人がやさしく，思いやりの心があるところが大好きなのだそうです。休みの日には全国各地を巡っており，すでに19都道府県を制覇しました！　家にある日本地図を使って，訪れた都道府県をCheckしているのだとか（笑）。

モットーは“Keep moving forward!（前進あるのみ！）”。海外に行くことを怖がらない児童を増やしたいと考えており，児童には自信を持って英語を話せるようになってほしいそうです。

さて，今日はWC1 Unit 7“Where is the treasure?”を扱います。今日は1/6時間目。黒板には授業の流れがカードで示されています。

まずはウォームアップとして，曜日，天気，時間，体調を確認し，みんなで英語の歌を歌います。今日歌うのはRachel Plattenの“Fight Song”。アレクサンドラ先生のお気に入りの曲です。

動画を見ながら，みんなで歌います。

次に，アルファベット“V”の学習を行います。1年間“A”から順に学習してきて，毎週の積み重ねでここまでたどり着いたのだとか。

“B”との違いを意識しながら，“V”ではじまる単語を挙げていきます。vultureはハゲワシやコンドルを意味します。『We Can!』のAnimals Jingleでもおなじみですね。Vixenはサンタクロースが飼っているトナカイの名前。サンタクロースは有名なRudolphを含めて8頭のトナカイを飼っていて，それぞれに名前があるそうです。

続いて，文字指導のワークシートを使って，“V”の文字を書く練習を行います。吉平先生が投影機を使って，書き方の手本を示します。

児童はしっかりとお手本を確認した後，自分でもワークシートに書いていきます。

次はフリートークの活動！　みんなで即興性のある英会話を楽しみます。今日のテーマは“What is your treasure?”。まずは吉平先生が，ご自身の宝物を紹介します。

“Novels are my treasure, because I like reading. I read them everyday.”
宝物の話をする吉平先生はとても楽しそう！　児童も真剣に聞いています。

続いて，児童が即興で自分の宝物を紹介！

“My life is my treasure.”“My family is my treasure.”“My friends are my treasure.”など，次々と声があがります。

Excellent!　児童の即興力にびっくり！

続いて，本時の“target language”の学習です。まずは先生が用意した絵本を使って，前置詞（in/on/under/by）等の表現を丁寧に導入します。

何度かパターンプラクティスを行って表現に慣れ親しんだ後，教室内にあるものを使って，前置詞の使い方を練習していきます。

慣れてきたら，隣の児童とペアになって，直前の練習を踏まえたクイズを出し合います。絵本のイラストを使って，お互いが指定したモノの「在りか」を英語で説明する活動です。

“Where is the T-shirt?”
“It’s on the bed.”
わからないところは教え合いながら，一生懸命に取り組んでいました。

今日の活動はここまで！

最後に，みんなでふり返りを行います。楽しかったことだけではなく，授業で何が一番勉強になったか，何が大切だったかを伝え合うことがポイント。

みんなで感想を共有して，今日の授業はおしまい！　Well done!

授業後，竹本俊哉（たけもととしや）校長先生にお話を伺いました。石井小学校では，吉平先生をはじめとする英語部の先生方を中心に，全校職員が協力して英語教育を推進しているそうです。校長先生は，それぞれの先生方の努力が素晴らしいと日々感じているのだとか。

また，保護者や地域住民，大学生・留学生などの協力を受けて，児童が毎日英語に触れられる環境が整っており，感謝しているとのこと。たくさんの方々の努力が実を結び，児童は英語を使うことや，外国の方と関わることに慣れてきています。

先日は1年生が“Left.”“Right.”“Up.”“Down.”などと言いながら，福笑いをしていたそうです。また，6年生は修学旅行で外国人旅行者の方に英語でインタビューをしたり，岡山のアピールをしたりしているのだとか。

学校行事に沿いながら，発達段階に応じた「英語の自然なやり取り」が実践できており，石井小学校の学校教育目標の一つである「国際感覚をもつ子どもの育成」の達成に向けて，着実に進んでいると語ってくださいました。

今回のレポートはこれでおしまい！　次回もお楽しみに！

（取材日：2019年1月18日）

★★番外編★★
後日，朝の帯活動を取材させていただきました！
その他，児童が英語に触れる機会を増やすための取り組みと合わせて，ご紹介します！

① MORNING BROADCAST

毎朝5分間，4～6年生の全児童が毎日交代で校内放送（テレビ放送）に出演し，ALTとの掛け合いやクイズに挑戦します。フォニックス指導や語彙習得に関わる活動を中心に行います。

この日は日時や天気を確認した後，出演する児童が自己紹介を行い，最後にスリーヒントクイズを楽しみました。全校児童の前で英語を話すのは大変ですが，一人ひとりのモチベーションアップにつながっているそうです。

② ENGLISH TIME

毎週火曜日から金曜日の8:30~8:40の10分間，単語や会話表現の練習をしています。『We Can!』のデジタル教材を活用して歌やゲームを行います。

この日は『We Can! 1』Unit 7“Where is the treasure?”のデジタル教材を使って，チャンツや道案内の活動（Let’s Listen 3）を行ないました。

その他，石井小学校では次のような取り組みを行っています。

HAPPY BREAK TIME

毎週水曜日の昼休みに，外国人講師が母国の遊びを教えています。1, 2年生が対象で，外国人講師と児童が英語を使って一緒に遊びを楽しみます。なお，石井小学校では常駐の外国人講師（1名）に加えて，2名の外国人講師が週1回ずつ，指導に加わっているそうです。

大学生・留学生との交流

ノートルダム清心女子大学の学生ボランティアが絵本の読み聞かせをしている他，岡山大学の留学生との定期的な交流があります。

地域との交流

1，2年生は夏休みに地域のお祭りで英語の歌や踊りをいきいきと披露しています。

なお，学校の様子や取組みの成果は，「特色ある教育（イマージョン教育）公開授業研究会」として定期的に公開しています。

石井小学校の児童は，びっくりするくらい発音がきれいでした。学校生活で自然に英語を使う場面が設定されていたり，朝の帯時間で『We Can!』のデジタル教材を効果的に使って，単語や語彙，表現に慣れ親しんだりしていることの積み重ねの成果なのですね!

（取材日：2019年2月15日）

「Junior Horizon小学校英語の広場」では，吉平先生のエッセイも掲載しています！

・がんばる先生のコラム「自分の思いや考えを言語化するために～We Can!を活用して，子どもの話す力・聞く力を育成しよう～」

URL：https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/ten_download/2018/2018062679.htm