みなさん，こんにちは。えいごりらです。
今日は鹿児島県薩摩川内市の平佐西小学校にやってきました。

薩摩川内市は人口約9万5千人。鹿児島県北西部の自然豊かな町です。古代からの長い歴史を誇り，市内には古事記や日本書紀に登場する「瓊瓊杵尊（ニニギノミコト）」の陵墓とされる「可愛山陵（えのみささぎ）」があります。

今日訪れた平佐西小学校は薩摩川内市の中心部にあり，九州新幹線の川内駅から徒歩5分。創立146周年を迎えた歴史ある学校で，864名の児童が学んでいます。

今から400年ほど前，この場所には「平佐城」がありました。豊臣秀吉が1587年に九州征伐を行った際には島津氏と豊臣氏の戦いの主戦場となり，このあたりですさまじい戦闘が繰り広げられたのだとか。

さて，そんな平佐西小学校では1999年度から，19年にわたって英語教育の実践・研究に取り組んでいるそうです。「系統性のある指導」と「英語の日常化」をキーワードに，学校をあげて授業づくりを行っています。今日は3クラスの授業を見せていただけるとのこと。

・1年2組「くだもの大すき“Fruits.”」
・4年4組「お気に入りの場所を紹介しよう“This is my favorite place.”」
・5年2組「位置と場所“Where is the treasure?”」

それぞれの学年でどのような授業が行われているのか，楽しみです！　I can’t wait!

授業はプレイルームで行われます。児童は「プレイルーム」＝「英語の教室」と認識しており，部屋を分けることで英語活動に対する意識が高まった状態で授業が行えるのだとか。

壁には巨大な掲示物が。既習単語を日常生活と結びつけながら復習するための「ひらさワールド」と呼ばれるポスターです。

さて，まずは1年2組の授業を見学します。低学年では「英語活動」として，年間10時間の授業を行っているそうです。

今日は「くだもの大すき“Fruits”」の2/3時間目。児童にとって身近な題材を使って授業を行います。

T1として授業をリードするのは担任の木場華子先生。英語が得意ではなかったそうですが，T2の先生と連携し，日々の授業に取り組んでいます。

こちらはGT（Guest Teacher）の柳迫久美先生です。薩摩川内市では，地域ボランティアのGTが英語活動の指導に加わっているのだとか。

担任とGTが協力し，全員が安心して授業に参加できるように配慮しているそうです。

授業がはじまると，まずはジェスチャーをつけて元気よくあいさつ！　続いて歌を歌ったりチャンツを言ったりして，授業に向けた雰囲気作りを行います。

先生も児童もとっても楽しそう。このような活動を通して，アクセントや口の形，外来語との違いにも気づかせていきます。

ウォームアップが終わると，本題に入ります。今日の授業のめあては「すきなくだものの名まえをいってみよう」。同時に，単元のゴール「自分のお気に入りのフルーツパフェを作ろう」を確認します。単元ゴールは，黒板の左上にイラストで示されています。

平佐西小学校では各学年における共通実践事項として，必ず単元の「Final goal」を設定し，普段から児童と先生が意識できるようにしているそうです。特に低学年では，イラストで示すなどの工夫をしているとのこと。

まずは「タッチゲーム」を行います。先生が「I like apples.」と言うと，児童がりんごの絵カードをたたいて「I like apples.」と繰り返します。

ハート型の指示棒がとってもかわいい！　「like」への理解を視覚的に深めます。このようなちょっとした工夫が，児童のやる気を引き出すのですね！

続いて，列ごとにグループになって「パスゲーム」を行います。グループ内で順番に果物を回していき，受け取った児童は「渡された果物の名前」と「自分の好きな果物の名前」を言って，果物を次の児童にパスします。

「果物を持っている友達が発言する」というルールをはっきりさせることで，しっかりと相手の発言を聞くことにつながります。児童は「おもしろい」「もっとともだちになれる」といった理由から，クラスの友達と英語で話すのが大好きなのだそうです。

最後に振り返りのための「らんらんカード」を書いて，今日の授業はおしまい。

1年生なのに，最後まで集中が途切れずすごい！　笑顔いっぱいの楽しい授業でした。

さて，続いて4年4組の授業を見せていただきます。中学年は年間35時間の45分授業に加えて，週1回の朝活動「English Time」を行っています。

今日は「お気に入りの場所を紹介しよう“This is my favorite place.”」の3/5時間目。『Let’s Try! 2』も活用して授業を行います。

授業をリードするのは担任の大野芽衣子先生。「英語指導は非常に苦手」と話す大野先生ですが，ジェスチャーを使って指示したり表現したりしながら授業を盛り上げます。

そんな大野先生をサポートするのが，EST（English Support Teacher）の中尾修一先生です。

ESTも薩摩川内市の制度の一つで，英語に堪能な地域人材を市で雇用しています。中尾先生は昨年までGTとして薩摩川内市の英語指導に関わっていたそうです。

授業が始まると，まずは挨拶やチャンツなどのウォームアップを行い，続いて道案内の表現を復習しながら，本題へと入っていきます。

まずはモデルスキットの提示から。『We Can! 2』Unit 8の誌面を使って，職員室から理科室へ，先生が道案内をします。その流れで，本時のめあて「どうやって道案内をしたらよいかな」と，単元のFinal Goal「キーラン先生に学校の中のお気に入りの場所を伝えよう」を確認。Final Goalは実生活と繋がりのあることを明確に設定しているのだとか。

次に，ジェスチャーを使いながら表現を繰り返し練習した後，「サイモン・セズ・ゲーム」を行います。先生が「Simon says…」のフレーズに続けて「Turn right.」「Turn left.」などと指示を出し，児童はそれに従って右や左を向く動作をします。先生が「Simon says」と言わずに指示を出した場合には，児童は指示に従ってはいけません。うっかり従ってしまった場合は負け，というシンプルなゲームです。

中尾先生があの手この手で児童をひっかけようとして，児童もおおいに盛り上がります。

続いてペアになって「ロボットゲーム」を行います。片方の児童がロボット役になり，もう一方の児童がその後ろに立って道案内をします。

児童はゲームを通した学びが大好きで，とても楽しそうに取り組んでいます。

最後に，大野先生が作成したオリジナルビデオを視聴しました。平佐西小学校の先生が，職員室から理科室までの道をALTの先生に案内します。この映像を通して，児童は今日学んだ表現を振り返ります。

身近な場所を舞台とした映像に児童は興味津々。担任以外の先生が出演していることが新鮮味を出しており，次の時間に向けた良いイメージ付けになっていました。

最後に「らんらんカード」に振り返りを記入して，今日の授業はおしまい！　児童は皆，最後まで楽しそうに取り組んでいました。Good job!

今回のレポートはここまで。次回は5年2組の授業の様子をお届けします！

（取材日：2019年1月25日）