みなさん，こんにちは。えいごりらです。
今日は茨城県守谷市の守谷小学校にやってきました。

守谷市は茨城県の南東部，千葉県との県境に位置します。2005年につくばエクスプレスが開業し，東京都心までおよそ30分。人口の増加とともに住環境が整い，毎年「住みよさランキング」で上位にランクインするなど，めざましい発展を遂げています。

そんな守谷市は「子育て王国もりや」を掲げ，子どもたち最優先で教育環境を整備しています。今回訪れた守谷小学校は市内で最も長い歴史を持ち，創立100年を超えているのだとか。全校児童は約800名。市内で一番大きい小学校なのだそうです。

新しい校舎になって５年目。木のぬくもりのある素敵な校舎です。

廊下を歩いていると，こんな貼り紙が！

毎週金曜日は「イングリッシュデー」として，児童は簡単な会話を英語で行うそうです。児童は小学校卒業までに3分間の英会話ができることを目標に，会話表現を積み重ねているとのこと。

守谷小学校では2011（H23）年度より，文部科学省教育課程特例校（英語特区）として，小学校1年生から週1時間の外国語活動に取り組み，世界で活躍できる人材の育成を図っているそうです。

さて，今日は6年3組の授業を見せていただきます。担任の小俣（こまた）はるか先生は教師になって10年目。旅行が趣味で，オーストラリア・グレートバリアリーフの旅が一番心に残っているのだとか。

昨年は算数や音楽と英語の合科授業に取り組みました。児童も熱心に取り組み，思い出深い授業になったとのこと。「上手になりたい気持ちを大事にしたい」と話す小俣先生は，ご自身も中学校英語の免許取得を目指して，日々奮闘されています。

こちらはChung Kevin先生。アメリカ・カリフォルニア州の出身で，現地のラーメン屋で日本人スタッフと一緒に働いたことがあり，日本に興味を持ったそうです。

最初は遊び半分で来日したものの，ALTとして子どもたちに教えることが楽しく，日本が大好きになったのだとか。6年3組のクラスは児童が1年生の頃から教えており，一人ひとりのことをよく理解しています。特技は歌とギターで，aikoの「カブトムシ」とBEGINの「島人ぬ宝」が十八番なのだそう（笑）。「笑いのある楽しい英語授業」をモットーに，日々の授業に臨んでいます。

さて，今日は辞書を使った授業にチャレンジします。まずはケビン先生との簡単なやり取りからスタート。日付，今日の天気，朝にしてきたことなどを話します。

1年生からケビン先生に教わっていることもあり，流れるようにやり取りが行われびっくり！　ケビン先生は守谷小学校に常駐しているため，授業外でも給食の時間や休み時間等，さまざまな場面で交流が可能なのだとか。

次に，本日のめあて「英単語の意味を調べ，英文の意味を理解しよう」を提示し，英和辞典を使い学習することを確認します。

国語の辞書は2年生の頃から使っていますが，英和辞典を使うのは今回が2回目。導入から終末まで，英語辞書に親しむことを目的に授業を行います。

活動がはじまると，まずは担任の小俣先生が，先日の「イングリッシュデー」についての話題を切り出しました。健康観察を英語で行った際，児童が困っていたことを話題に挙げ，coughという単語を紹介します。ケビン先生が「I have a cough.」とジェスチャー付でヒントを与えると，すぐに児童が「せき」と推測して返答。このような動作化は意識的に取り入れているそうです。

続いて，ふせんに「cough」と書いてから，一人ひとりの手元にある辞書で調べ始めます。

第1回目の授業の際には，辞書引き学習のルールとして，①グループで競争する，②楽しく競争する，③ふせんを辞書に貼る，④ふせんをノートに貼る，⑤単語を知り文章で言う，という学習ルールを共有したそうです。

続いて「headache」「stomachache」「sore throat」を調べていきます。

英和辞典を使うのは2回目なのにすごい！　国語辞典を2年生から使っているたまもの！？

次に，配布したワークシートの英文を一斉に音読します。

In Poland, you can eat a bagel.
It is round and thick.
It has a hole in the middle.
It’s a tasty treat!

音読しながら，児童はわからない単語に◯を付けていきます。小俣先生が，児童が調べそうな単語round, thick, hole, middle, tasty, treatを黒板に提示。みんな真剣に調べ，辞書にどんどんふせんが付いていきます。小俣先生とケビン先生はそれぞれの机を周りながら，丁寧にフォローします。

調べ終わった後，クラスのみんなで単語を確認し，それぞれの意味を共有しました。

少しずつ辞書を引くコツがわかってきたようで，児童はとっても嬉しそう！

次に，英語の本を読むことにチャレンジします。児童は辞書を使いながら，本に書いてある単語の意味を調べていきます。

本はオーストラリアの小学校で使用していたテキストブック（ナショナル・ジオグラフィック）など。かつて現地の小学校に在籍していた守谷小学校の児童が持ち帰ってきたそうです。

自分たちの興味・関心のある英文を選択することで，児童は意欲的に調べていきます。わからない単語は手分けして調べたりするなど，互いに協力します。

先生は単語の意味をつなげながら，文章のおおよその意味がとらえられるように支援。

最後にグループごとに調べてわかったことを発表します。

聞いているグループも，他のグループの成果をしっかり聞いていました。

最後に辞書に貼った付箋をワークシートに貼って，感想を記入。「分からない単語が調べることで分かるようになって楽しかった」「みんなで協力して辞書引きして楽しかった」「またやってみたい」などの感想があがりました。

みんなで活動を称賛し，楽しい雰囲気のまま終了！

授業後，鈴木不二男校長先生にお話を伺いました。校長先生は子どもたちに「自信と勇気を持って何事もチャレンジして「壁」を乗り越える児童になって欲しい」と願っているそうです。

そのための一つの取り組みとして，学校では「名文暗唱」を取り入れています。全校児童に10級から1級までの「名文暗唱集」を配布し，1級は日本国憲法を暗唱します。多くの児童がチャレンジし，すでに1級取得者がたくさん出ているのだとか。さらに，1級合格者には「名文暗唱英語バージョン」を配布し，ALTが朗読したCDも配っているそうです。

そんなチャレンジ精神あふれる児童と一緒に，先生方も新しいことへの挑戦を始めています。今年から5・6年生では年間15時間，担任のみで外国語の授業を行うようになりました。お互いに授業を見せ合うなど校内研修を充実させ，前向きに取り組んでおられるのだそうです。校長先生は「児童だけでなく，一人ひとりの教員が「壁」にチャレンジして頑張っており，心強く思っている」と語ってくださいました。

今回のレポートはこれでおしまい。次回もお楽しみに！

（取材日：2019年1月22日）

※守谷小学校で行われている実践研究の資料をご提供いただきました！　今回行われた辞書の授業の他，他教科（算数，音楽）との合科授業や「名文暗唱」の取り組みについても掲載しています。ぜひご覧ください！
URL：https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/ten_download/2019/2019013002.htm